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保育園専門の収納家具工場として大切にしている5つのこと。

目次

ちゃんと僕らは、お客様のことを大切にできているのだろうか。

造作収納家具に違いなんてあるんでしょうか?
はっきり申し上げると、あります。素材、金物、作り方や使用状況に応じた扉の開き方が考慮されているかどうかまで、様々な違いがあります。
しかし、造作収納というものは一般の方やお客様にとっては特に違いのわからないもの。
家具屋の事情によっては、あえて不透明にしているものでもあります。

今日はその「違い」を説明させていただこうと思います。

そもそも、造作家具が評価されるポイントってどこなんだろう?

施設向けの収納家具、造作家具の評価ポイント、それは「見た目」と「価格」です。
それだけ。
品質?材料?堅牢さ?それらは隠されています。
新築の大きな施設が建つ時に重視されるのは「見た目」と「価格」。なぜか?
入札という制度があるからです。

「お客さんは金物のことなんか知らないから、粗悪でもクレームが来ない程度の金物と材料でとにかく案件を取る為に安くしよう。」
「安かろう、悪かろうでも、家具なんて入ってしまえばいい。見栄えさえ揃っていればいい。」
そんな魂胆が見える図面も、残念ながら世の中には溢れていますし、エンドユーザーの安全性が担保された図面というものは、実際にごく少数派です。

本来、モノづくりをする立場にある人間には、説明責任があると僕は考えています。
この金物は、価格はこんなもので、これくらいの信頼性がありますよ。と。でも、仕事を取らなければならないが為にその説明をあえてぼかしているのが現状です。

僕たちは家具屋です。収納家具を専門とする工場です。それも子ども達が触る現場の多い収納を作っています。
近年、金物含め本当にエンドユーザーのことを考えているモノづくりが減っているように見受けられます。「前回の入札で入れた家具の扉が落ちたから、おたくの家具を入れたい。」「前回の家具の金物で子どもが手を切った。入れ替えたいから相談したい。」そんな声が今年は多く届いています。

この記事は、そんな声にお応えできる内容を盛り込もうと思います。

それでは本題に移りましょう。

1.やっぱり安全性が一番大事。

ひとつだけ言いきれることがあります。
保育などの福祉・文教施設における家具で大事なのは、金物
ここだけは絶対にケチっちゃいかん!!です。

しかし、入札時点で金物まで詳細に書かれている図面はほとんどありません。故に、金額で勝負しなければならない場面では適切ではない、安価な金物ベースの金額で見積もりがされていてもお客様は判断することができません。どんな仕様のものが入るのか不透明なのです。

ヒンジ(丁番)やレール。引き出し金物や折れ戸金物。そんな様々な種類の金物が安全で、堅牢で、そして使う側が多少の無茶をしても事故が起きないモノを選んでいるか。適切に設置されているか。そこが重要です。
具体的には、大きな扉に対してヒンジが2つだけ着いているのはNG、と僕たちは考えます。

もし何かの拍子でヒンジのツメが外れたら?そのまま扉が外れてしまい、例えばそれが職員さんの足に落ちてしまえば最悪の場合、骨折などに繋がります。下に子どもが居たらと考えたらゾッとしますよね。

保育に限らず学校や介護施設においても、職員さんの家具の使い方は“自分の家”の使い方とは違います。
赤ちゃんや子ども、ご老人や障がい者を脇に抱えたまま扉を開かなければならない状態だってあります。
仕事ですから、常に急いでいます。そんな状態でダンパーが付いていない扉で(※ダンパーとは、勢いよく閉めてもゆっくりと閉じてくれるような仕組みです。)毎日仕事をしていると、閉める度に「バン!」と大きな音をたててしまいますし、指詰めも起こりやすい。収納家具自体にダメージもたまりやすく、耐用年数は低くなってしまいます。

本来そこまで考えるのがモノづくりですが…。

blum社のダンパー付きのヒンジ。勢いよく閉めてもゆっくり閉じてくれる。プラスドライバーだけで扉の調整もできる。耐用年数、信頼性ともに優秀です。

例えば、ヒンジは扉に対して一般の家具よりも多めに付けられていて、ダンパーが標準装備されているもの。そして扉の高さや開き具合を簡単に変えられるものが望ましいです。

故に、設計事務所さんや家具商社さんから依頼された場合も、図面とは違う金物の仕様にさせていただく場合も多いです。
ちなみに弊工場ではblum社のダンパー付きヒンジのみを仕入れています。
30年間、保育の環境に耐えられる金物を探して来ましたが、blum社のヒンジが一番信頼性が高いと判断しました。

2.使う人をイメージしている図面。

JISによる強度や耐用の試験は存在しますが、実は、収納家具に「この強度じゃないと世に出してはいけませんよ!」という規定は存在しません。
使われている材質にはそういった規定はありますが、こと日本において安全ではない材質が流通することはほとんどありません。(材質については、ホルムアルデヒドと家具|F☆☆☆☆ってなんなの?の記事をご覧ください)

「じゃあJISの規格をクリアできている製品は全部安全なの?」
違います。
一般のご家庭では、そこそこ高い位置、例えば地面から120cmの位置でもオープン棚(扉のついてないもの)は使えますが、こと保育園・幼稚園・こども園では危険な使い方になります。
例えば、高さ120cmのオープン棚があることで考えられる危険は下記です。

  •  ・よじ登って転落する
  •  ・子どもたちの頭上からモノが落ちてくる

こういったことは、経験則から得られる安全の水準ですので、規格で判断することはできません。図面で見たとき大して問題もないようなものでも、実際に使う場面を想定すると問題がある図面というものは、ありふれています。

こうして見ると何の変哲もないオープン棚ですが…。

こうすると怖さがはじめて見えてきます。

他にも子どもの手の届く範囲に可変棚がある場合。棚板を子どもが外して落とし、ケガをしてしまう危険があります。
JIS規格は最低限の基準」と僕たちは考えています。収納家具の上に子どもが乗って飛び跳ねても、壊れないように作る。「もしもこんな使い方をしたら?それでも壊れないようにするには?」そこまで想像して作る。

保育園やこども園、介護施設などでは強度や堅牢性だけでなく、経験則に基づく図面の作り方が大事なのです。

3.本当に地震がおきても大丈夫かどうか。

誤解されている点がひとつあります。
最近ホームセンターなどでも見かけるつっかえ棒式の耐震部品や家具の下に敷くことで転倒防止になると呼ばれているアレ。
家具工場を営むものとして申し上げたい。
あれは、意味ないです。一定の震度を超えた場合や揺れの方向によっては、転倒します。
詳細は他サイトで調べてみていただければと思います。

地震において、家具の転倒防止は重要課題です。
下記の引用をご覧ください。

“地震による負傷原因の30%~50%は家具類の転倒・落下が原因(引用)”

地震が起こった時、かなりの確率で家具や家電の転倒で怪我をしていることがわかります。
「家具対策をせずに地震対策とは言えない。」といっても過言ではないですよね。
この件に関しても特に規格はありません。なので、僕たちはお客様を守るためにも、自分たちを守るためにも耐震については一定のルールを基準として対策をとっています。

具体的には下記です。

  •  ・高さ120cm以上のものには壁打ちの耐震対策を行う。
  •  ・壁打ちができない場合は、天井に向けて巾木を埋め込み、床打ちを行う。
  •  ・壁打ちは、必ず壁の中にある芯の部分に向けて打ち込む。
  •  ・吊り棚を取り付ける際は、奥行き30cm程度にとどめて、壁の芯だけでなく、天井の芯にもビスを打ち込む。天井はブレスのついたものかどうか必ず確認する。
  •  ・高さ120cm以上の開き戸には耐震ラッチを装備する。

要するに、「壁や天井、床に家具がくっついている状態」が一番安全ということです。

背板から壁に向けてビスを打ち込んでいる様子

加えて、家具の上部には耐震ラッチを設けることも基準としています。
耐震ラッチというものは、家具の揺れや傾きを検知すると扉が開かなくなるものです。
小さな揺れであっても、頭上から書類や道具が落ちてくると大変危険です。
家具自体の転倒ももちろん、家具の中身も落ちてこないような徹底された耐震・転倒防止が必要です。

3.なんやかんやで化粧板が優秀。それでも無垢材を使いたいときはセラミック塗料がオススメ。

無垢材、良いですよね。子どもたちにも本物の木を触ってもらえるような機会は沢山あった方が良いと僕も思っています。
しかし、教育の現場で無垢材を使うことにはデメリットの点が多いことも事実です。

  •  ・高価(メラミン化粧板のおよそ2倍の価格帯)
  •  ・メンテナンスが大変
  •  ・複雑な金物を付けることができない

この3点です。

特にメンテナンスの部分は、現場で働く職員さんにとっては死活問題です。
「汚してはいけない」という緊張感の中で毎日を過ごすことになり、パフォーマンスにも影響があるからです。

では、メラミン化粧板のメリットは?

  •  ・安価
  •  ・面が強く傷や汚れに強い
  •  ・複雑な金物を付けることができる

この3点です。

安価でありながら不特定多数の人間が使うことを想定されている面材と言えます。
もし無垢板に油性ペンをつけてしまったら大事ですが、メラミン化粧板の場合は、そのまま洗剤のついた布などで拭き取ることができます。
それでも、やっぱり無垢材は魅力的です。やはり高価にはなってしまいますが、最近では撥水セラミック塗料というものが開発され、無垢板もメンテナンスが楽になるようになりました。

詳細はコチラ「無垢材なのに醤油もインクもはじく!撥水セラミック塗料実験3種【無垢ヒノキ】」を御覧ください。
この塗料を建具部分(開き戸の扉部分など)の材料に使い、複雑な金物、例えば折れ戸式の大きな造作家具も工夫次第で作ることができます。(実績:無垢ヒノキの折れ戸式書庫

4.取手が適切であるかどうかも大事。

2.で語っている部分でもありますが、家具が子どもたちを傷つけるようなことがあってはなりません。これも業界に長年身をおいてきたからこそ見える水準ですが、子どもたちの目線高さで建具(扉など)から飛び出している取手は危険です。
頭や目をぶつけてしまうのです。なので、掘り込み取手を使うことが基本になってきます。
その中でもHEWI社の取手は抗菌作用があり、バリ(接合部分の尖っているところ)が無く、安定した品質であることから取手の主材としています。
見栄えも大事ですが、やはり安全性と毎日快適に使えるユーザービリティ(使いやすさ)こそ忘れてはいけない大切な点です。

HEWI社の取手。手触りの良さ、使い心地が抜群です。

5.保育園に慣れている職人が現場に行けるかどうか。

最後は、現場です。
大きな造作家具は、現場でのジョイントや設置作業が必要になります。
その時に搬入する人や設置する職人が、保育園などの教育施設の納入経験や知識がちゃんとあるかどうかという点も重要です。以前語った部分でもあるのですが(参照:家具、什器納入・納品で気をつけている3つのこと。)現場での工具の置き方など、子どもの手に触れないような安全対策は必須です。
そういった経験がない場合、子どもたちが外に出ないよう柵をちゃんと閉めたりなど、業界では常識とされていることも、言われないと気付かず開けたまま続けて納入してしまうこともあります。餅は餅屋。同じ家具納品・取付でも業界のプロに依頼するのがベストです。

まとめ

造作家具ひとつとっても、工場や商社、工務店によって得意不得意があります。
一般家庭用の家具と保育園などの施設向けに特化された家具は、そもそも作り方から異なります。
毎日の仕事を安全に、快適に過ごせるような収納家具を選ぶことこそ大事な点ですね。
ぜひそんな目で、工場を探してみてください。

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